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【第5回】 幼児の健康づくりセミナー

国際幼児健康デザイン研究所は、幼児が心身ともに健康で、生き生きとした暮らしができるように、幼児 の健康づくりに寄与する教育・保育・体育関係者および子ども支援者を対象に、幼児の健康づくりセミナーを開催し、研究知見や健康づくり情報を発信します。



道標


健康理論を拓き、子どもたちを愛し


実動のあり方を示して、皆で取り組むべき課題を語り継ごう。



国際幼児健康デザイン研究所所長 近藤 寧



講師紹介








照屋 真紀

早稲田大学大学院人間科学研究科








若林 仁子

社会福祉法人和修会、つるまち海の風保育園園長








前橋 明

早稲田大学人間科学学術院

教授・医学博士

国際幼児体育学会会長

日本レジャーレクリエーション学科会長



講演1 『宮古島の幼児の就寝時刻と夜間の活動』

講師:照屋 真紀







子どもを取り巻く祝い事や、伝統行事、特有の飲み会文化などが宮古島における幼児の就寝時刻の遅さの主な要因と考えられる。







就寝時刻が22時を過ぎる幼児の割合は4割、

また、外遊び時間が30分以内の幼児の割合が5~7割を占めている。











子どもの健やかな成長を願い、地域との繋がりが深い宮古島だからこそ、正しい知識を啓蒙することで子どもの生活習慣を変えられると思う。







講演2 『子どもの意欲と自立心を育てる~毎日の運動あそびを通して~』

講師:若林 仁子





令和2年4月以前の取り組みにあった課題をもとに「体を動かすことが大好きな子どもを育てる」という全体目標を掲げ、「6つの取り組み」を行うこととした。


取り組み①②③ 定期的に体育講師を招き、指導案を基に年齢・発達にあった体育遊びやリトミック、エアーマットを取り入れた運動遊びを行った。



取り組み④ 小学校の校庭で行われた運動会。日々の運動遊びで培った力を見事に出し切ることができた。







取り組み⑤ 「自分たちの健康について考える力をつけられるようになる」という目標を立て、保健指導・食育指導を行った。





取り組み⑥ 日々の活動をお便りやスライドショーなどを通して保護者に発信し、家庭での生活リズム改善に努めてもらうよう周知した。




令和2年度の活動を通じ、体を動かす楽しみを知り、運動が大好きになった子どもたち。

一方で、コロナ禍という社会状況の中、「正しい生活リズムの確立」という面が次年度の課題となった。



令和3年度は、昨年度積み残しとなった「子どもの生活リズムを整える」ことを第一の目標とし、引き続き運動遊びに取り組む中で「子ども一人ひとりが目標をもって意欲的に取り組む」「体力づくり」についても、園の全体目標とした。



取り組み① 日々の運動あそびを活性化するために、園の運動カリキュラムの担当責任者を配置。それにより、他クラスとの連携と発達の連続性を意識した中で、活動に取り組むことができるようになった。



取り組み② 体育講師とミーティングを重ね、園オリジナルの運動あそびの年間カリキュラムを作成。子どもの心と身体の体力づくりを家庭と連携し行っていくための方法と運動あそびの内容が、年間で確認できるように構成されている。




取り組み③④ 「生活リズム」を整えるために、毎朝運動遊びに取り組んでいる。特に年長児は登園後9時半から始まる運動あそびを楽しみに、規則正しく登園してくる子どもが増えた。


取り組み⑤ 運動あそびの種目ごとに作成した「遊びのカード」は職員の学びのアイテムとしてとても役立っている。また、年長児には勲章として「がんばりカード」にシールを貼ることで、やる気を引き出すアイテムになっている。




取り組み⑥⑦ しっかりと体を動かした後は、給食も良く食べ、よく眠るようになった。午睡の後の運動あそびは、午前中とは違った遊びを見つけ、集中して楽しむ子どもたちの様子が見られる。



取り組み⑧ 保護者に行ったアンケート調査では、明らかに生活リズムが改善されてきた様子を読み取ることができた。






おわりに:子ども達一人ひとりが目標を持ち、意欲的に取り組むことができるように私たち職員も意欲をもって保育していかなければいけません。子ども達が日々成長していく姿を、保護者とともに喜び合うことを楽しみに、これからも継続して運動遊びに取り組んでいきます。





講演3 『人間らしさへの道』

講師:前橋 明


-子どもたちが人間らしく思いやりや理性のある人間に育つには-




1.過去の事例

「ゲージさんの事故」


アメリカ人のゲージさんは、仕事中に前頭葉を鉄の棒が貫くという事故にあい、前頭葉と側頭葉を合わせた前頭連合野が傷ついた。





3か月の入院・治療の結果、知能や運動能力、記憶はしっかりしていたが、仕事に復帰したところ、計画がしっかりもてない状況になっていて、人間らしさとまとめられるような理性や感情のコントロール、集中力、幸福感、達成感、将来展望などを失っていた。





前頭葉では、責任感や創造性といった人に特徴的な高いレベルの心を生み出していることがわかった。ヒトとチンパンジーは、前頭葉の大きさの違いによって、その働きに差が出ている。






子ども時代に、前頭葉を発達させることが必須。そのためには対人的なあそびが大切だが、現代の子どもは、対物的なあそびを多くするため、体力面以外でも、人間らしさが発達しにくいような状況にある。

昭和時代の子どもたちは、漫画を読むにしても、一つの漫画を皆で共有して、内容や感想を話し合っていた。


「稲穂の教訓」

私が5歳くらいの時、祖母から「収穫の時を迎えた稲穂が太陽の下で垂れているのは、これまで春先から稲を守り、大きく育ててくれた太陽の恵みにお礼を言っているから。あなたのお母さんもあなたを育てるために一生懸命働いてくれている。だからあなたも大きくなったら、お母さんにありがとうと言える大人になりなさい」と教えられた。


「五右衛門風呂の教訓」


私が子どもの頃、祖母と円形の五右衛門風呂に入っていた時、「お湯を自分のあごの高さまでできるだけ多く集めたほうが勝ち」というルールで競争をした。「私が勝ったらお小遣いを倍にする、もし祖母が勝ったら、なんでも祖母の言うことを聞く」という条件付きだった。当時の私は祖母からの挑戦に何でも勝っていたので、この勝負も負ける気がしなかった。

両手を広げて胸元まで必死で引き寄せたが、お湯は肩や脇から抜けて、一向に集まらなかった。一方、祖母は平泳ぎのように外に押し出すと、お湯は胸元に戻って集まるという結果となり、私は負けた。

祖母は、一言「何でも自分のものにしようと集めると脇から出て行く。友だちが困っていたら、自分ができることをしてあげ、もっているものを分けてあげなさい。そうすれば、巡り巡って自分の元へ返ってくるよ。」と諭してくれた。

 これらの教訓以外にも、毎日の祖母との関わりの中で、当時の私の前頭前野に良い刺激となる経験をたくさん積み重ねられたことを感謝している。



このように、子どものこころの育ちには、幼少期から人との関わりを持ち、悪いことをしたら叱られ、諭されるという体験が大切である。









2.子どもたちが一番活発に動けるとき

昭和時代は、午前中だけでも6,000~7,000歩の歩数になっていたが、今日の幼児の歩数は、昭和時代には及んでいない。しかし、「土手すべり」では5,000歩まで増え、「保育者とともに遊ぶ戸外あそび」は6,000歩近くまで増加した。

自然環境の中で活動することや、保育者がいっしょに動くことで、活発な運動ができることが分かった。身体活動量が上がることで、お腹もすき、食のリズムがとれ、夜もよく眠ることができる。子どもたちの運動量を増やすためには、先生や親などの大人も一緒に遊ぶことが大切。

思いやりや理性、感情コントロールなどの人間らしさを育てるだけではなく、運動量を増やすという面でも人との関わりは魅力的である。


おじいちゃんおばあちゃんから小さな赤ちゃんまで、家族が揃って食卓を囲んでいた昭和時代。現代では、祖父母との別居、父の単身赴任、子どもたちの習い事などで食卓を囲む機会が減り、家族の関わりが薄くなっていることで、子どもの前頭葉が発達しにくい環境であることを心配している。





3.「人間らしさを育む適時期」


前頭連合野の神経回路は、8歳くらいまでに非常に良く発達するといわれているので、そのころまでに良い環境・良い教育で育つことが重要である。


事例1.『オオカミ少女カマラさん』


カマラさんは生まれてから狼に育てられ、8歳で発見・保護された。その後、手厚い教育を受けたものの、言語的知性が発達せず、人間らしさも育たなかった。カマラさんは18歳で亡くなったが、それまで一度も笑うことはなかったようだ。




事例2.『小野田元少尉・横井元軍曹』


太平洋戦争後、ルパング島から生還した小野田元少尉、グアム島から生還した横井元軍曹は、30年ほど人から離れて生活していても、人間らしさが失われていなかった。幼少年期に、きちんと人と関わり生活してきたおかげだと言える。





この2つの事例からもわかるように、人間らしさを身に着けるには、幼少年期の人との豊かな関わりを逃してはならないのだ。


4. まとめ



(1)将来に向けた計画性を育むためには、幼少時期より夢や目標をもたせること。

(2)子ども同士で十分に遊ばせ、理性や社会性を育てること。

(3)大人があまり干渉せず、主体的・独創性を大切にし、一生懸命に取り組んでいることを好きにさせること。

(4)自然探索や昆虫採集などを経験させて、集中力や探究心・好奇心を高めてもらいたい。

(5)幸福感や達成感のために、しっかり褒めること。


人間らしさを育むためには、5人から10人までの年齢の異なる子どもたち同士が関われる集団づくりが必要であると考える。

そして時に、父子だけの時間を作り、8歳までに社会的規範を子どもに示すこと、武道や体育などを通じ、我が国の伝統的規範を身につけることが大切。





受講目的:健康理論を拓き、子どもたちを愛し、実践のあり方を示して皆で取り組むべき課題を語り継ごう。

講師:照屋 真紀先生、若林 仁子先生、前橋 明先生

司会:大野純一(国際幼児健康デザイン研究所)文双鵬(国際幼児健康デザイン研究所)








主催 国際幼児健康デザイン研究所 TEL:03-6457-8031 FAX :03-6416-8978  E-mail:info@ihyc-lab.com https://www.ihyclab.com

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国際幼児健康デザイン研究所

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